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丁度一年前に見た「冷静と情熱のあいだ」以来の久々の邦画。「踊る大捜査線」のようにTVドラマから火がつき、徐々に口コミで広がり、コアなファン層ができ、映画化された。
ストーリーは、非常にシンプルで自称"売れっ子天才奇術師"山田奈緒子が知り合いの天才物理学者、上田次郎とコンビを組んで、ある山奥で起こる神様騒動を奇術師としてではなく、"神様"として見破っていく・・・というもの。カードマジックや確率論などのトリックを使う自称"神様"たちのトリックを見破っていく前半。一方後半は山奥の村に隠された謎を解いていくという二部の展開になっている。
主人公の山田は自称"売れっ子"だが、マジック・ショーには人が集まらず、家賃も滞納しており、極貧の生活を送っている。また口癖のようなものとして「くわっぱ!」などの奇声を上げるような天然女性でもある。(こういった癖のあるキャラクターというのはコアなファンを作り出しやすい。)
その相棒ともいうべき、上田は日本科学技術大学の教授という肩書きを持ち、「どんと来い、超常現象」というシリーズ本の著者でもある。
この二人の凸凹コンビがこの映画の見所の一つであることは間違いない。この二人が織り成すギャグの数々。そしてコンビの作り出す絶妙な世界観。これらがコアなファンを作り出している要因の一つだろう。この手の方法は「踊る大捜査線」や「ケイゾク」においても見られる。
また貧乳と巨根というアンバランスな設定も面白い。こうしてあげてみるとおちゃらけた二人に思えるかもしれないが、二人とも頭脳明晰であり、普段のアホっぽさとのギャップがまた面白い。
全体としてみれば、謎解きの要素もあり、笑いもあり、ちょっとしたことに深い意味を持たせる演出方法あり・・・とハイレベルな作品に仕上がっているが、映画としての面白さ、スケール感は感じられなかった。
うまく言葉にできないが、良い作品に出会ったときというのは、映画を見終わった後に"やっぱ映画は面白い"と感じるものだが(採点で言えば6~7点以上の作品)、この作品に関していえば、その種の感じ方が出来なかった。TVドラマの2時間スペシャルでこれを見ていたら、かなり面白いと思えるのだろうが、映画としては何か物足りない作品だった。