神 話 / MYTH
採点:★★★★★★☆☆☆☆
2005年11月26日(DVD)
主演:ジャッキー・チェン/成龍、キム・ヒソン
監督:スタンリー・トン

友人が香港で発売された直後の日本未公開のジャッキー最新映画をDVDで見ました。
今回はジャッキー初の歴史大作。ジャッキー扮する秦王朝の将軍と、これまたジャッキー演じる現代の考古学者、の2人の人物を現代と過去を交えて展開されるストーリーです。キャストも香港だけでなく、韓国からも主演女優といえるキム・ヒソンを招いていて、アジア映画といえるキャスティングだが、ジャッキーよ、日本人俳優も使ってあげてくれ!!(昔は、後藤久美子の「シティー・ハンター」とかもあったけど・・・)

2000年以上昔、突如現れた山賊一味に襲われたスー姫の軍隊を救出したメン・イー将軍。しかし、その後も幾度もの追っ手に追われつつ、二人だけの旅になってしまう。
そんな夢を見る現代のジャッキー。考古学者として香港で優雅な暮らしを送っていたのだが、友人の依頼で訪れたインドで怪しい宗教団体の神殿から飛翔石と剣を盗み出すものの、崖から落下してしまう。
再び2000年前。2人で旅を続けるうちに、スー姫はメン・イーに対して恋心を抱いてしまう。そして無事に万里の頂上にたどり着いたところで、皇帝と結婚して幸せにと言うメンに対し、姫は私を連れてどこかに逃げてと訴える。それに対し、メンは自分の義務は姫を無事に国に届けることです、とあくまでも儀を尽くす。
崖から落下したジャッキーだったが、インド美人に看病され、一命を取り留める。そしてその女性の助けもあり、警察の追跡を振り切り、無事香港に戻る。
再び2000年前、皇帝が病気になり、ある薬を敵地に取りに行くことになるメン。別れを前にスー姫に対し、「いつまでも心はあなたの傍に・・・」というメンに対し、「あなたの帰りを待っています」と答える姫。無事、不老不死の薬を手にしたメンだったが、皇帝の元へと戻る途中、敵に囲まれてしまう―――。
そして現代。香港に戻ったジャッキーだったが、友人の依頼で訪れた滝の裏側で信じられないものを発見する!!

今までのジャッキー映画にはなかったジャンル、歴史。前半、歴史大作らしい見所がいっぱい詰まっている。弓による威嚇射撃から馬上戦。そして剣による個人戦。しかし、ただそれだけでは終わらないのがジャッキー映画。
山の斜面を利用して、わらの玉を転がし、途中に広がる火矢から燃え移った火を吸収し、燃え上がる火の玉となって軍隊に転がり込むシーンは「ポリス・ストーリー/警察故事 」のオープニングをなぜか思い出させた。

そして個人戦に関しては、ジャッキー映画の醍醐味ともいえるカンフーが冴え渡る。カンフーに関しては、この団体戦以外のシーンでもかなり面白い。
まずは宗教団体の神殿での格闘シーン。その場にあるものをすべて戦闘の道具に利用してしまうというジャッキーお得意のパターンが楽しめる。そしてこれまたパターンどおりにコミカルな格闘シーンとして成り立っている。
そして、この作品の中で一番のジャッキー・パターンは、インド美人と逃げている最中に立ち寄った工場での格闘シーン。これぞ、ジャッキー映画!という戦い。ベルト・コンベヤーの上での戦いなのだが、そのベルト・コンベヤーが強力な接着剤が塗られていて、足もとが固定されてしまう。そして戦いが進むにつれて、倒れてしまい、背中も引っ付き、頭も引っ付き・・・という状態になってしまい、最終的にはパンツいっちょの格好になってしまうジャッキー。しかもそのパンツがニコチャン・マークというのもまた素敵!!

そして古代の見せ場の最後。1対数百という状況に追い込まれてしまうジャッキー扮するメンだが、次々と襲い来る敵を、これまた次々になぎ倒していく。そして屍で築かれた山の頂上で戦い続けるメン。このシーンは過剰演出ではあるのだが、鳥肌が立った。

だが、ラスト・シーンは今までの流れがちょっと崩れてしまう。最後の最後でSFファンタジーになってしまうのだ。それまでの歴史的大作と現代の冒険野郎という、どちらもジャンルとしては確立されてはいるが、それをミックスするという新しいジャンルがうまく交わっていたのだが、最後の最後でSFファンタジーになってしまい、しかも"CG使いまくってます"ってのが丸わかりの映像を見せられ(無論、それまでもCGを使っているのだが、そこまで丸わかりではなかった・・・馬の後ろ蹴りは拍手!!)てしまい、少しがっくり。

そしてこの作品を見ていて、これは!と思ったのが2つ。音楽と場面転換。音楽は文字通り、映画音楽のことだが、劇中歌の「Endless Love」もかなり良い。久々にジャッキーの歌声が聞けるのだが、今までのジャッキーのキーよりも1つか2つ高くなっていて、しかもデュエットということで、かなり良い歌。歌だけでもぜひ聴いてみてほしい。
そして場面転換は、シーンとシーンの変わり目の効果。簡単な例をあげればフェードがそう。この作品の中では、現代の本に描かれた戦闘馬が実際の戦闘シーンに変化するなど、見ていておぉ!と思わされた。

ストーリー的には非常に興味深い内容だと思うのだが、映像的には「HERO~英雄~」や「グリーン・デスティニー」で見たような映像が多く、特にラスト・シーンは「グリーン・デスティニー」の飛翔シーンそのまま。
それでもところどころにジャッキーらしい演出が見られ、テーマが重くなりがちな歴史大作でありながらコミカルに見られる。

一口コメント:
ジャッキー初の歴史大作ですが、ジャッキー版「HERO~英雄~」ともいえる作品です。

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