シャンハイ・ヌーン
採点:★★★★★☆☆☆☆☆
2005年2月8日(DVD)
主演:ジャッキー・チェン、オーウェン・ウイルソン
監督:トム・ダイ

ラッシュ・アワー」シリーズが当たり、それに続くハリウッド成功作品として認知されている作品で、この作品をはじめて見たのは飛行機の中だった。

1881年、中国。元近衛兵の裏切り者ローが、紫禁城からペペ姫を誘拐。彼は身代金として金貨を要求、さらに姫との交換場所にネバダ州カーソン・シティの教会を指定してくる。近衛兵3人とかばん持ちとしてチョンがアメリカに向かうことになる。
7週間後、ネバダ州にてチョンたちの乗る機関車を、ロイ率いる強盗団が襲撃。その際、チョンの叔父が射殺され、さらには仲間とも離れ離れになってしまう。一方、ロイも仲間に見放され、砂漠に生き埋めにされる。埋められたロイと遭遇したチョンは、彼から道を聞き出してカーソンを目指す。
途中、敵部族に襲われていたインディアンを救い、彼らから英雄として迎えられ、妻までもらってしまう。数日後、ある酒場でロイと再会。そこで大乱闘を演じ、2人とも留置所に入れられてしまう。それがきっかけとなり、二人の間に友情が芽生え始める。
チョンとロイは協力してぺぺ姫の救出に向かう―――。

=西洋と東洋の融合=などというありふれたフレーズは、この映画のためにあったと思えるほど、しっくりと当てはまる作品。東洋のカンフーと西洋の西部劇がミックスされ、そこにジャッキーお得意のコミカルな描写がふんだんに盛り込まれている。
まだ中国に皇帝が存在していた頃、「忠誠心」と呼ばれるものが非常に強く、ひたすら帝国への忠誠を誓っていた時代背景がコミカルな中にもうまく織り込まれている。たとえば、姫の顔を直視してはいけないだとか、皇帝陛下の前では頭を伏せるだとか、そういった日本でいうならば、"水戸黄門"的な描写がところどころにある。
その彼が西部劇の世界にやってくる。異文化の融合が笑いをもたらしてくれる。たとえば、それはインディアンとの言葉による意思疎通の難しさだったり、手につばをはきかけて握手することで友情を確認するという習慣だったり、カンフーの優れた使い手が西部劇の象徴とも言える馬をのりこなすシーンだったり、そういった文化の違いによる笑いというのはどんな映画でも大きな笑いになるものだ。
そんな西洋で出会ったロイ。彼の存在で少しずつチョンの性格も変わっていく。ロイは口先だけのいい加減な男。しかし生真面目なチョンといい加減なロイが、お互いの欠点をカバーし合う内に友情が芽生えていく。特に酒場で風呂に入りながら、中国式のドリンク・ゲームをしている二人を見ているとそれがよくわかる。

姫役がルーシー・リューというのも解せない。はっきりいって彼女は姫という雰囲気ではない。時期的に「チャーリーズ・エンジェル」がヒットした時期だったため、この配役となったのだと思われるが、ハリウッド映画におけるアジア人の配役というのはもっと真剣に考えて欲しいと思う。(他の地域から見れば日本人も中国人も同じに見えるのかもしれないが、日本人役の女優として中国人女優を使うのは本当にやめて欲しいと思う。「キル・ビル」とか・・・)

そして、この映画のあるシーンからあるシーンへのつなぎは、すこしぎこちない。しかし特典映像の中にある未公開シーンを見てみるとそのぎこちなさを埋める映像が収録されていて、編集者や監督はなぜこのシーンをカットしたのだろう?と思わずにはいられない。この未公開シーンをカットせずに本編に残しておいてくれば、もう少し評価は高くなっていただろう。

一口コメント:
=西洋と東洋の融合=
東洋を代表するジャッキーが作った"東洋 in 西部劇"です。

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