ウォンテッド/WANTED
採点:★★★★★★☆☆☆☆
2008年7月20日(映画館)
主演:ジェームズ・マカヴォイ、アンジェリーナ・ジョリー、モーガン・フリーマン
監督:ティムール・ベクマンベトフ

予告編を見た瞬間にここまで心が奮えた映画は久々である。ってことで、見に行ってきた作品。

ある日、会計士ウェズリーの前にフォックスという女性が現れる。彼女の話によると、随分前に死んだはずの父親が1日前に暗殺されたらしい。しかも父親は銃弾を曲げるなどの特殊能力を持つ暗殺集団フラタニティの一員であり、ウェズリーもその父親の血を引いており、その才能を開花させるために、組織によって訓練される。クロスという男が父親を殺したことを知り、暗殺者としての能力を開花させたウェズリーは父親の復讐を誓う・・・・。

マトリックス」を初めて見た時と同じような衝撃を味わうことができる。これが第一の感想である。ただし、映像面においては・・・という限定詞が付くが・・・。
というのはストーリーの展開という意味において、「マトリックス」における、現実と仮想現実という2つの世界を行き来するというような、大袈裟かつ、ある意味で斬新な設定が不足しているから。
そして、この作品の主要キャラが「マトリックス」の主要キャラとかぶって見えるというのも、新鮮味に欠ける要素の1つである。

とはいえ、映像面においては、予告編で期待していた通り、あるいはそれ以上に興奮させられる。
人が建物の内部からガラスを突き破ってかなり離れた隣のビルに飛び込んだり、線路脇の車道を走る車が、走っている列車の窓に思いっきり突っ込んだり、あるいは車をジャンプ台にして、回転しながら敵対する車の頭上を飛び越えていったり・・・。とにかく今までに見たこともないような映像がスクリーンの上で繰り広げられる。
しかし、この作品において最も斬新なのは、銃弾をカーブさせるというアイデアとその映像。これはある意味で、孫悟空がピッコロ大魔王に対して、かめはめ波を曲げた!以上に斬新である。いや、「マトリックス」において、キアヌ演じるネオが銃弾を交わした時と同じくらいの衝撃である。
本来、銃弾というのは猛スピードでまっすぐに飛んで行き、対象物を破壊する。まっすぐに飛んでいくことこそが、弾丸の役目であるといっても過言ではない。それを曲げてしまうという発想。これは簡単な発想に見えて、実は難しいのではないだろうか?
というのも過去の映画、TV、漫画、アニメにおいて弾丸、あるいはレーザーなどは基本、すべてまっすぐにしか進まないし、まっすぐでなければ破壊できないくらいの描かれ方をしてきた。「起動戦士ガンダム」しかり、「スター・ウォーズ-エピソード3-」しかり、孫悟空にしたって、かめはめ波を曲げたのはピッコロ大魔王の時、一度きりだ。
というわけで、「マトリックス」の後に"ワイヤー・アクション"や"ブレッド・タイム"が他の映画において、散々、真似されたように、この作品をきっかけに今後、銃弾を曲げる映画が多数作られるかもしれない。それくらいの衝撃を持った作品である。

他にも見ごたえのあるシーンはいくつもある。例えば、列車が鉄橋から落下するシーン。例えば、シカゴの地上列車"L"の上での訓練シーン。例えば、予告編にもある、立っている人間を回転しながら強引に助手席に取り込んでしまうシーン(個人的にはかなり好きなシーン)。
しかしやはり銃弾が曲がるということ以上の衝撃はない。その意味のおいてはアンジェリーナ・ジョリーが放つ最大の秘儀は、突っ込みどころ満載ではあるが、映画史上においても、類を見ないほどの衝撃のシーンとも言えるかもしれない。

ストーリー的にはもう少しだが、映像面においては、今後の映画における1つのスタンダードに成り得る作品です。

一口コメント:
"銃弾を曲げる!"、この作品の魅力はこの一言に尽きます。

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