ミリオン・ダラー・ベイビー |
先日発表されたゴールデン・グローブの監督賞、主演女優賞を制し、アカデミー賞にも7部門でノミネートされた作品。そしてスピルバーグに次いで二番目に好きな監督でもあるイーストウッド作品ということで、見に行った作品。
ボクシング・ジムを経営するフランキー。彼が育て、将来を有望視していたボクサーは他のジムからの好条件の誘いに魅かれて、彼の元を去って行く。そんなジムへ32歳のボクサー志望の女性、マギーが門戸をたたく。フランキーにとって女性をボクサーとして育てるなど、考えられなかった。しかし、病弱な母親を養いながらの貧しい生活をしながらも、練習に打ち込む、ハングリーな姿勢を見ているうちに、フランクキーは彼女にボクシングを教えるようになる。二人はトレーニングを通して次第にお互いを理解し合うようになっていく。そして彼女の実力はとどまるところを知らず、、マギーは遂に100万ドルのファイト・マネーを賭けたタイトル戦に出場することになる・・・。
昨年度の「ミスティック・リバー」に続き、アカデミー賞にノミネートされただけのことはあると言える内容の作品。イーストウッド作品といえば、中身の濃いヒューマン・ドラマ的な作品が多いが、この作品も例に漏れず、その手の作品です。
物語の前半、フランキー自身にも忘れられない娘がいて、それを出しては戻ってくる手紙で表現していた。見ている最中は何の伏線だろうと思っていたが、後半になって、マギーに魅かれていくにしたがって、前半の手紙が忘れられない娘とマギーがだぶって見える、ということを暗示するための伏線だったのかと思い、そのあたりの心理描写に関してはさすが、監督イーストウッド!と改めて思わされた。
さらに今作品は今までにない要素がひとつ加わっている。それはイーストウッドとモーガン・フリーマンの軽妙なトーク。今までのイーストウッド作品に足りなかったものと言えば、コメディー的要素(「スペース・カウボーイ」のような例外もあるが・・・)。それが今作品ではこの二人の凸凹コンビっぷりが面白い。英語を100%理解できていれば、さらに楽しめただろう。
最後の終わり方については、賛否が分かれそうだが、個人的には可もなく不可もなくといったところです。
この作品を気に入った人はぜひ、「ミスティック・リバー」を見てください。そして、この作品の良し悪しに関わらず、「パーフェクト・ワールド」は見てください。個人的にはイーストウッド作品の中で史上最高傑作です。