ジオストーム
採点:★★★★★☆☆☆☆☆
2018年2月8日(飛行機)
主演:ジェラルド・バトラー、ジム・スタージェス、アビー・コーニッシュ、アレクサンドラ・マリア・ララ、エド・ハリス、アンディ・ガルシア、ダニエル・ウー
監督:ディーン・デヴリン

「彼氏も凍る」というCMの台詞が頭に残っていたこともあり、タイからの帰国便の機内で鑑賞した。

歴史的な自然災害が多発した後、世界各国が共同で天候をコントロールするための衛星を開発した。衛星の運用開始から数年、アフガニスタンで一瞬で村人が凍り付く・・・という異常事態が発生する。そして香港でも異常事態が発生する。
フロリダで怠惰な生活をしていた開発者で元責任者のジェイクは、現責任者で弟のマックスから世界各地で異常気象が発生するジオストームの原因究明を依頼され、再び宇宙ステーションへと戻っていく―――。

見終わった直後・・・というか見ている最中から一番強かったのが「ローランド・エメリッヒ監督の作品だっけ?」という思い。
地球規模の災害が巻き起こるパニック映画と言えば別名"破壊王"の通り名を持つ彼の独壇場だったのだが、この作品は彼の作品ではないはず・・・。調べてみるとローランド・エメリッヒと組んで「インディペンデンス・デイ」シリーズの脚本を手がけたディーン・デヴリンの監督デビュー作とのこと。なるほどこうやっていわゆる○○イズムなるものが受け継がれていくわけだ!と妙に納得してしまった。

今までエメリッヒが散々やってきた内容の総集編ともいうべき内容で、「デイ・アフター・トゥモロー」で見た瞬間凍結や「2012」で見た巨大津波など、オマージュなのか?どうかよくわからないが、デジャブのようにスクリーンでエメリッヒ節が展開される。
というわけで、エメリッヒ作品が好きな人なら、この作品もきっと好きになれるが、逆に彼の作品が嫌いな人はこの作品も嫌いになること間違いなし!!

突っ込みどころ満載の作品であり、そういうところを突っ込みだしたらキリがないところまでエメリッヒの系譜である。
例えば、大統領本人以外の生体認証ではコントロールできない機能があるほど高度なセキュリティかと思いきや、ハッキングされてウイルスを埋め込まれる脆弱性を露呈するも、再起動するとウイルスが無効化される・・・というトンデモ設定は違う意味で素晴らしい!!
そして地球の天候をコントロールできるという衛星宇宙ステーションも実現しそうでしないギリギリのラインというところも上手い!!この作品はこの衛星システムがないと話が成り立たない極めて重要なファクターなのだが、なぜ気象をコントロールできるのか?という核心部分には一切触れない。この部分こそ突っ込みたいことはたくさんあるのだが、そこはこういう映画だと割り切ってスルーしましょう!!

唯一エメリッヒと違うのは天災ではなく、人災の面が強く、人災=必ず黒幕がいるという映画の方程式が当てはまるということ。その黒幕を暴いていくサスペンス要素があるのはこの監督の独自色を強く打ち出している部分である。
しかしこの黒幕の動機がとてつもなく弱いあたりはさすがエメリッヒの後継者といったところか・・・?黒幕が目的を達成するためにわざわざ気象コントロール衛星を使う必然性がなく、なんならもっと簡単に目的を達する方法があるだろ!!そんな目的のために全世界を巻き込むな!!と言いたくなるのだが、そこも含めて楽しむべき作品だと割り切って見ましょう!!

そしてトドメの人間ドラマ。
結論から言うと人間ドラマに関してはエメリッヒの方が上手い!!兄弟だからこその苦悩を中心に複数の人間のドラマを描いているのだが、どれも薄い。エメリッヒの場合、複数の人間ドラマを並行して描くのだが、ディーンの場合、1人にフォーカスしすぎて他が弱い。その点エメリッヒは3人くらいを均等に描いている。「インディペンデンス・デイ」であれば、ウィル・スミス演じる軍人、ジェフ・ゴールドブラム演じるエンジニア、そしてビル・プルマン演じる大統領がそうだ。
この作品でもエド・ハリス、アンディ・ガルシアら、大物俳優が出演しているのだが、その辺の描写の薄さはもったいなかった。

エメリッヒとディーンの比較になってしまったが、監督デビュー作品としては可もなく不可もない作品でした。

一口コメント:
エメリッヒ2世によるパニックムービーです。

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