ロード・オブ・ザ・リング
~二つの塔~
採点:★★★★★★★★☆☆
2003年2月27日(映画館)
主演:イライジャ・ウッド
監督:ピーター・ジャクソン

待ちに待った第2部が公開された。これほどまでに続編が待ち遠しかった映画はかつてなかった。

第1部の終わり方が連続ドラマの"To be continued"的な終わり方だっただけに、今回はハイライト的な始まり方をするのかと思っていたが、前作の最後で3つに別れてしまった旅の仲間それぞれの旅を追っていく形で始まる。というわけで、前作を見ていない人には何のことだがわからないと思われるので、まだ見てない人は是非前作を見てから見ることをお勧めしたい。
3つに別れてしまった旅の仲間。まずフロドとサムの2人だが、指輪を捨てるために、モルドールへと向かうが、途中で道に迷ってしまう。そこに現れたのが以前指輪の主人であったゴラム。ゴラムを加えて3人となった仲間で再びモルドールへ向かう。
このパーティーにおいてはCGキャラクタであるゴラムが非常に素晴らしい。指輪に魅入られてしまった"悪"の部分と、フロドの優しさに触れて芽生えた"善"の部分がゴラムというキャラクタだけでなく、この作品の大きなテーマである"善"と"悪"との戦いの象徴ともいえる役割を担っているとも言えるのではないだろうか?
一方、ウルク・ハイに連れ去られてしまったメリーとピピンはどさくさにまぎれて逃亡することに成功し、ファンゴルンの森へ逃げ込んだ。そこで樹木の牧者エントと出会う。エントは外の世界の戦いには無関心で、この戦いに負ければ故郷の村もなくなってしまうことを知っているピピンとメリーに対して、何もしないことを決断したことを告げる。
その2人を追いかけるのが、アラゴルン、レゴラス、ギムリの3人。2人を追ってファンゴルンの森に入るが、そこである人物に出会い、ローハン王国を訪れることになる。そこで待っていたのは心を支配された王セオデンだったが、彼を救うことに成功する。しかし闇の軍団が迫っていることを知り、ローハンの人々と共にヘルム峡谷に逃げ込み、戦いに備える。その数300。対する敵軍は10000。この絶望的な状況の中、いよいよ戦闘が始まる・・・。
その頃、フロドとサムとゴラムは前作でウルク=ハイに殺されてしまったボロミアの弟ファラミアに捕らえられ、ゴンドールに連れて行かれる。そこに飛竜に乗ったナズグルが現れる。指輪の魔力が強まり、それに屈しそうになるフロド。
3つに別れてしまった仲間がそれぞれの戦いを始める・・・。

今回も前作以上に素晴らしい映像を見せてくれる。数多いビジュアル・エフェクトの中でも特筆すべきは2つある。まず、CGキャラクタであるゴラム。これほどに重要な役割をCGキャラクタを用いた映画は今までになかったと思うし、CGキャラクタとは思えないほど感情豊かな表情を見せてくれる。
そして何よりも素晴らしいのが、ヘルム峡谷での戦闘シーン。これほどまでに大規模な戦闘シーンを描いた作品も今までになかっただろう。大軍団同士の戦闘シーンというと、メインキャラクタの戦いを近くから撮ったものが今までの映画だった。もちろん、それはこの作品にもふんだんに使われている。アラゴルンとギムリが城門を死守するシーンやレゴラスが階段を滑り降りながら弓を連射するシーン(このシーンを見て、それはないだろう!と思う反面、かっこいいと素直に思える自分もいた)などがそれ。しかし大軍同士がぶつかりあうシーンがこの戦闘の中だけでなく、作品を通して一番の見せ場ではないだろうか?長槍を飛び越える馬、剣と盾がぶつかり合う音、何より大軍同士がぶつかりあう迫力。"史上最高の戦闘シーン"と言えるのではないだろうか?

一方、前作と同様人間味溢れるストーリーもところどころに散りばめられている。フロド助けるために全力を尽くすサムの友情や、ピピンとメリーのおっちょこちょいコンビには前回に続き、胸をグっとつかまれたし、指輪の魔力に魅せられるフロドと過去に魅せられてしまったゴラムとの深層心理での共感も描かれている。しかし今回の主役はアラゴルンである。前作ではエルフのアルウェンとの恋愛が中心だった人間の王アラゴルンが、今作ではレゴラスとギムリの3人の旅の中心人物でもあり、ヘルム峡谷における戦闘でも先頭を切って戦っている。"戦う男"としての魅力を存分に見せながらも、新たに登場した人間の女性とアルウェンとの三角関係の中心にもなっている。更にヘルム峡谷の戦闘を控え、脅える少年兵士との対話シーンでは、言葉こそ少ないものの、少年を落ち着かせる。
戦士としても、男としても、そして1人の人間としても、全ての面において王としての資質をのぞかせる。次作、完結編のサブ・タイトルは「~王の帰還~」ということで、その伏線とも取れる内容満載で、アラゴルンの魅力が一際輝いて見える作品になっているのではないだろうか?

いよいよ次作でこの壮大な物語も完結します。3つに別れた仲間がどのような形で再会するのか?アラゴルンの恋の行方は?ゴラムの行動は?そしてフロドの持つ指輪は?これら全てが解き明かされるまでもう1年期待を持って待っていたいと思います。

一口コメント:
他に言葉が見つかりません。「史上最高の続編です。」

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