タイム・マシン
採点:★★★★☆☆☆☆☆☆
2002年8月3日(映画館)
主演:ガイ・ピアーズ
監督:サイモン・ウェルズ

人間なら誰もが一度は夢見るであろう"タイム・トラベル"。その"タイム・トラベル"の起源とも言うべき、H.G.ウェルズのSF小説「タイム・マシン」の映画化作品。

大学教授のアレクサンダーは恋人のエマにプロポーズをすることを決意して、待ち合わせ場所のスケート場へ向かっていた。その途中で蒸気自動車を見つけ、興味が沸くものの、エマとの約束を優先させ、公園に向かうが、もう1つの約束である花を買うのを忘れてしまった。(この辺りの描写がアレクサンダーの人柄をうまく描写している)エマと出会い、近くの公園を散歩しようと彼女を誘い、プロポーズをするが、影から強盗が現れ、エマが撃たれて死んでしまう。
4年後、タイムマシンを発明した彼はエマを救うために過去に戻る。エマを公園ではなく、街へと連れて行くが、今度は馬車に轢かれて死んでしまった。「千回過去に戻れば千通りの死が?」「過去は変えられないのか?」と考えた彼は未来に向かう。
1899年から2030年へとタイム・トラベルしたが、ここでも答えを見つけることはできなかったため、さらに未来へ。7年しか経っていないのに、辺りは一変していた。廃墟と化した街、見上げた夜空には変形した巨大な月。月面の一部を爆破した結果、岩石が地球に降り注いでいた。(この辺りの発想(もちろん、タイム・トラベル自体も含めて)を100年前に考えていたG.H.ウェルズは素晴らしい)
慌ててタイム・マシンに戻るが、天変地異の影響で80万年後の未来へと飛ばされてしまう・・・。

ここまでの展開は非常に面白く、久々に10点満点か?と思える内容だったが、80万年後の未来でのストーリーは恋人を救うという今までの目的が薄れ、RPG的要素が大きくなる。「ロード・オブ・ザ・リング」のようなストーリーになる。それはそれで非常に面白いのだが、最後の終わり方がいまいちしっくりとせず、10点満点には及ばない結果となってしまった。

バック・トゥ・ザ・フューチャー」をはじめ、「猿の惑星」、「ターミネーター」などタイム・トラベルを題材に扱った映画は多く、そのメインとなるのはもちろんタイム・マシンであるが、この作品のタイム・マシンは他の作品とは大きく異なる。それは時間を移動することは一緒だが、空間を移動することはないという点である。ドラえもんで例えるなら、時空間を示すようなタイム・トンネルのようなものはなく、タイム・マシンの周囲の風景が変化していくことで時間の流れを表している。例えば、ショー・ウィンドウの洋服が変わったりするように。さらに大地に峡谷ができる様を描いたり、視点が地上から空へ(飛行機が描かれている)、地球から宇宙へ飛び出し、月面都市を描くことで より大きな時間の流れを描いている。

また主人公の妻として出演しているシエナ・ギロリーはこの作品がハリウッド・デビューという若手女優だが、最初にスクリーンで見た瞬間、永遠の妖精"オードリー・ヘップバーン"に似ていると思った。出演シーンはそれほど多くはないが、今後の出演作品が楽しみな女優になった。

また80万年後の未来で出会ったある未来人が言った言葉で心に残った言葉があるので、それを書いて終わりにしたいと思う。
誰もが心の中にタイムマシンを持っている。過去に戻るタイムマシンは"記憶"と呼び、未来に旅するタイムマシンは"夢"と呼ぶ

一口コメント:
最後がいまいちだが、全体を通して見れば面白い作品です。

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