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「シックス・センス」、「サイン」の監督作品第4弾ということで、見に行った作品。
ある村では赤色を不吉なものの象徴として、黄色をその対極の象徴として崇めていた。森に囲まれたその村の住人は誰もその境界線を越えていこうとする者はいなかった。が、ルシウスという青年が勇敢にもその境界線を越えようと計画する。そのルシウスのことを好きな盲目の少女アイビー。そのアイビーのことを好きな精神異常者ノア。そして村を襲う赤い謎の生物。謎の生物が訪れた前後、アイビーはルシウスに告白をするが、涙を流す結果となってしまう。それから数日後、ルシウスの家を訪れたノアがルシウスを刺してしまう。ルシウスを救うために、薬を求めてアイビーは森を抜けて町まで行く決心をする。
とストーリーを書くとこんな感じなのだが、予告を見た限りではホラー的な要素が満載の映画だと思っていたので、最後の方はどちらかというとラブ・ストーリー的な展開で全体としての統一感にかける映画となってしまった。
最初の方は村の存在を示すためにゆっくりとした展開で、主要な登場人物も丁寧に描写して、この話はどこか異次元の世界か、一昔前が舞台になっているのだなという感じですこしずつ映画に引き込まれていく。アイビーの告白シーンはとても現代的と呼べる代物ではないが、舞台設定に基づいた笑いを呼び起こすという観点で見ると、良くできている。
物語中盤は、謎の生物の存在を前面に押し出し、ホラー的要素がいくつかあるのだが、ホラーになりきれていないホラーといった感じでドキドキ感がなく、かといって他の要素があるのかといわれるとそれもない。ただただ謎の生物を引っ張りました!という感じが強かった。それとそれまで主人公だと思っていたルシウスが刺されてしまい、主役がアイビーに代わってしまうというのが、ちょっと拍子抜けだった。主役が途中で変わるという着眼点は今までにない新しい視点として面白いと思うのだが、今までのオーソドックスな展開になれてしまった自分が悪いのか、それとも着眼を実行に移す時点で上手く扱えなかった監督が悪いのか、それは謎のままにしておきたいと思います・・・。
そして終盤戦。ここはアイビーの知恵と勇気をベースに強い女の愛に対する執着心のようなものがうまく描かれていたと思う。が、盲目の少女が一人で今まで誰も出たことのない村の外へ行くという設定があまりにもあり得ない設定で(普通なら、誰かが代わりに行くか、ついていくはず・・・)、その設定を必然にするための理由も説得力に欠けた。
というわけで、全体として統一感のない作品だったという印象が色濃い作品でした。
実質的な主演のブライス・ダラス・ホワードはこの作品がデビュー作だと思うのですが、最初はそうでもなかったが、物語が進展するにつれて、だんだんと個性が前面に押し出されてきて、最後の最後はこの女優、素敵だなと思わされてしまいました。
この映画を見て唯一、お金お払って見た甲斐があったなと思えたのが、この新人女優です。
ところで、M・ナイト・シャマランの作品はそろそろ方向転換しないと危険ではないだろうか?ずっとサスペンス・ホラー的な作品ばかりを撮ってきたが、ここ2作品、むしろ3作品は「駄作」続きで、この次も「駄作」が続くようだと監督生命、危険信号点滅ではないだろうか?