ホタルノヒカリ
採点:★★★☆☆☆☆☆☆☆
2015年4月5日(DVD)
監督:吉野 洋
主演:綾瀬 はるか、藤木 直人

2015年のGW、イタリアへ2週間の旅行へ行くことになり、下見も兼ねて見た作品。

同居人にして上司である高野部長と結婚した"干物女"蛍。2人は新婚旅行としてイタリアへ行くことにする。しかし半年経っても一向に準備が進まない蛍に呆れ、一人で見本市に出張することにした部長。ひと悶着ありながらも最終的には2人でローマへと出発!
たどり着いたローマで自分そっくりの"干物女"莉央に出会う蛍。そして部長のトランクを開けると覚醒剤らしき白い粉。そんな中マフィアによる日本人誘拐事件が報道され、不安になる蛍。そして部長が誘拐される―――。

フジテレビが「アマルフィ 女神の報酬」、「テルマエ・ロマエ」とイタリアでロケする映画を作ったからなのか、日テレも同じようにイタリア・ロケの映画を作ってきた。しかしフジテレビがあくまでもTVドラマなしの映画なのに対し、日テレはテレビドラマの映画化ということもあってか、キャラクターの紹介が薄く、映画から見た人にとっては非常に分かりにくい不親切な印象が拭えない。
その際たる例が主人公の蛍。TVドラマでは仕事はきっちりとこなしつつも家ではぐーたらという描写があったが、この作品に関してはただのぐーたら女。なぜ部長がこのような女性を好きになったのか?というのが伝わっていないため、この作品だけを見ると二人の間柄に違和感しか感じない。しかも新婚旅行にローマに行くというのに、それさえも面倒くさいという態度の蛍。そこに共感を覚える女性が一体どれだけいるのだろうか?(少数はいるかもしれないが・・・)
蛍が"部長のために・・・"と思って、部長が好きな「ローマの休日」(これも誤解なのだが・・・)に出てきた名所を案内するものの、義務感満載で、最終的には早く日本に帰りたい!となってしまう。せっかくのイタリアの名所めぐりなのだが、見ているこちらもイマイチ乗れない。せっかくのローマという絶好のロケーションだが、魅力的なカットがほとんどない。
例外だったのが、チヴィタという断崖の上の町。ここはぜひ行ってみたい!と思った。

役者陣は泥にまみれたウェディング・ドレスで特技(?)のドジョウすくいを披露した綾瀬はるかや、女装して黒人とダンスした藤木直人の2人は安定していたが、作品の内容が内容だけに役者魂を見せるような場面はなく、ドラマのレギュラーだったほかの役者も顔見せ程度の出演。このレベルだったら、いっそのこと出演させずに他の部分に時間を割いたほうが良かったのではないだろうか?
役者と言えば、松雪泰子が"イタリア版干物女"として出演するが、「容疑者Xの献身」の時と同様、ミス・キャスティングではないだろうか?彼女が抱える過去の闇と干物っぷりが、脚本の時点からして無理があるのだが、そこに松雪をキャスティングするのもどうなんでしょう?30代後半の女優さんであれば、例えば米倉涼子や篠原涼子あたりの干物っぽい演技は合ってそうな気がする。あとは深津絵里とか?

というわけで、いろいろと書いてみたが、やっぱり脚本の時点でこれは映画ではなく、ドラマ・スペシャルで良いんじゃないか?という議論がされるべきではなかったのだろうか?
この作品が、自分の家というプライベート空間で主人公さながらにダラダラしながら見るという条件であれば、楽しむことができる内容だったと思われるが、映画館というパブリックな空間で他の観客と一緒に見るとなると、この作品は魅力にかける。それはやはりTVのノリをそのまま劇場に持ってきてしまった脚本のせいだろう。もちろんすべての作品がそうというわけではなく(例えば刑事モノなんかはTVドラマのノリをそのまま持ち込んでも面白い)、あくまでもこの作品の性質上の問題だ。

しかし、綾瀬はるかという女優はTVドラマに関しては、この作品を含めて、いくつか代表作と呼ばれる作品があるが、こと映画に関しては、「プリンセス トヨトミ」といい、「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」といい、出演作に恵まれない。近い将来、映画においても彼女の代表作と呼ばれる作品を見てみたい。

一口コメント:
イタリア旅行の参考に見たが、チヴィタ以外、特に魅惑的なカットのない作品でした・・・。

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