ポリス・ストーリー2/九龍の眼
採点:★★★★★★☆☆☆☆
2004年12月18日(DVD)
主演:ジャッキー・チェン/成龍
監督:ベニー・チャン

香港版ジャッキー映画の中でシリーズ化されている作品といえば、「プロジェクトA」とこのシリーズ。「酔拳」は1と2ではまるっきし話が違うし、「ラッシュ・アワー」はハリウッド版ジャッキー映画。というわけで「ポリス・ストーリー」の続編です。

冒頭、前作で逮捕されたボスの逆恨みによる嫌がらせによって、怒りに狂う(暴走とも言えるが・・・)チェン。メイに対する嫌がらせに腹を立てたチェンは街中のカフェで相手を打ちのめすと同時に、街を破壊してしまう。それがきっかけで上司と口論になり、警察を辞めてしまう。ある日メイとの旅行の申し込みをしに出かけたデパートに爆弾を仕掛けたという電話が入り、チェンの早急な対処のおかげで事なきを得る。そしてメイと二人でバリへ旅行に出発する当日、離陸直前に上司に呼び戻され、爆弾犯の捜査に復帰して欲しいと頼まれ、その依頼を受ける。この捜査のために結成されたスペシャル・チームと共に捜査を進めていく上でメイを拉致され、チェン自身も爆弾犯によってお金の引渡しをする任務に就かざるを得なくなる。その任務をなんとか果たしたチェンはメイを救い出し、爆弾犯のアジトである火薬工場へと一人乗り込んでいく。

前作は、ジャッキー映画の中でも1、2を争う危険なスタントの連続だったが、本作はそれに比べると、少しこじんまりとしている。良い言い方をすれば、"刑事ドラマ"として上手く成り立っているとも言えるが・・・。
とはいえ、公園の雲梯などを使った格闘シーンや、反対方向に向かう車をそれぞれ1台ずつ使って、道路の反対側のビルへと移動したり、といった細かい演出は冴えている。
オープニングで道路法違反のトラック10台くらいの間をバイクで駆け抜けていくシーンや、高速道路を横断してミニバンに激突!・・・というシーンがあるのだが、このあたりの描写がものすごくサラッと描かれていて、渋さを感じた。
他にもラスト・シーンで敵のアジトを全壊させるだけの火薬を使用したり、"屋根落ち"などがの見せ場はいくつかあるのだが、前作ほど記憶に鮮明に残るようなハデな仕掛けがあるわけではない。

その代わりというわけではないが、前作以上にコメディー的要素が多い。特に署長と上司、そしてジャッキーの3人の間で交わされる台詞は一つ一つが非常に良くできていて、「踊る大捜査線」シリーズの3アミーゴスの前景とも言える仕上がりになっている。 そしてアクション・コメディーとでも呼べばいいのだろうか?オープニングで道路法違反のトラックを停車させた後にドアが一斉に開くシーンはあまりにも綺麗に揃いすぎていて笑えたし、また火薬工場で敵に樽を投げつけられながら ベルトコンベアを駆け上がるシーンはドンキーコングを思い出し、笑えた。

ジャッキー映画の特徴の一つでもあるヒロインのアクションという意味で言えば、近作は前作以上かもしれない。恋人であるメイは殴られたり、1人でバリ島に行かされて拘束されたり、バイクで車に突っ込んだり、拉致されたり、火薬工場の上階から滑り落ちたり、前作では、走り出すバイクから落ちるシーンと階段の踊り場から蹴落とされるシーンだけだったことを考えると、本当にいろいろと大変なアクションを演じている。

そして映画の中で登場する小道具一つ一つに時代背景を感じることも、この作品の一要素ではないだろうか?例えば、日本の車。この映画が作られた当時、日本の中古車が香港をはじめとするアジア地区に安く売られていて、この作品の中にも数多くの日本中古車が登場する。中でも「ジャスコ」の軽トラはすごい!日本で走っていたのと同じ外観のまま登場し、我々日本人には懐かしい感じさえする。

そんな今作の中でもひときわ光を放つのが敵キャラのアパパ(?)ではないだろうか?難聴という設定でありながら、めちゃくちゃ強い。足蹴りに関しては完全にジャッキーを凌駕していた。"空中3段蹴り"をワイヤー・アクションではなく、実行できる人間なんて世界中を探しても片手でも余るほどではないのだろうか?また、上段蹴りを相手の顔の直前でストップさせ、下段蹴りに切り替えるというのも人間技ではない。
そして火薬弾。相手に向かって投げつけ、小さな爆発をし、服には炎を残るという武器を使いこなし、ジャッキーを苦しませるが、最後は自らの武器でやられそうになってしまうという、蹴りの達人とのギャップも面白い。その対象がジャッキー映画の中でも1、2を争うほど印象に残る敵キャラになったのではないだろうか?

全体を通して見ると、前作には及ばないというのが正直な感想だが、前作の続編ということでなければ、それはそれでかなりレベルの高い作品だと思います。

一口コメント:
前作以下のスタント、前作以上のコメディが詰まった作品です。

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