ハリー・ポッターと炎のゴブレット
採点:★★★★★★☆☆☆☆
2005年11月20日(映画館)
主演:ダニエル・ラドクリフ、エマ・ワトソン、ルパート・グリント
監督:マイク・ニューウェル

原作は既に6冊目が発売され、残るは1つというところまできているが、映画は今作で4作目。ようやく折り返し地点を折り返した状態だ。

オープニングからして、今までとは大きく異なる。いつもの人間界でのハリーの不遇な生活描写はなく、今回は見せ場の1つでもあるクイディッチのワールド杯で幕を開ける・・・!と思いきや、ある事件が発生し、クイディッチの試合は見れない。
そして学校が始まった後もクイディッチの"ク"の字もない。というわけで、クイディッチを楽しみにしている人がいるとすれば、今回は(おそらく今後の3作はすべて・・・)クイディッチを見ることはなく、残念に思うかもしれない。

そして今回は学校においての魔法の授業も、闇の防衛術の授業が1コマ描写されているだけで、今までの作品のようなファンタジー感は比較的少ない。授業と呼べるかどうかはわからないが、ダンスのレッスンが描かれているが、それは魔法の学校の授業ではなく、普通のダンススクールの内容となんら変わりはない。

では何が描かれているのか?というと、ホグワーツを含めた三大魔法学校の対抗戦。17歳以上の生徒が各校から選出され、学校の名誉をかけて戦うのだが、17歳未満でもあるにも関わらず、今作のサブタイトルでもある"炎のゴブレット"はハリーも選出してしまい、4人で対抗戦を行うことに・・・。
1つ目の試練、ドラゴンの守る卵を奪うこと。2つ目の試練、水中からあるものを救い出すこと。そして最後の試練、迷路の中に隠されたあるものを見つけること。
これらの試練を乗り越えた直後、ハリーの目の前でボルデモートが復活を遂げる!!

全体的に非常にダークな内容のだが、パート3と比べてそこまでダークさを感じないのは監督の手腕だろう。
その原因の1つは"笑い"。今作は今までの全4作品の中で、"笑い"に関しては一番面白い。今まで通りのロンのボケだけでなく、ハリーのボケも冴え渡る。中でも女の子に見とれて、飲み物を口から吐き出すシーンは今までのハリーのキャラクター設定にはなかったものだと思う。
そしてもう1つの要素が恋愛。ハリー、ロン、ハーマイオニーの三者三様に恋愛が用意されていて、恋に恋する時代の淡い恋心をうまく描写しているのではないだろうか?

その逆に今までの作品の核をなしていたとも言える"謎解き"の要素はほとんどない。パート3で見せたタイム・パラドックス的な謎解きは何もない。なので、それを期待して見に行くと、クイディッチ同様、期待はずれに終わることになると思う。

しかし、試練その2の水=水の中から救い出すのが、選手それぞれにとって大切な人(友人だったり、肉親だったり、恋人?だったり・・・)っていうのは、どうなんだろう?いくら魔法学校とはいえ、そんな課題(生徒の活躍を見るために、他の生徒の命を危険にさらす課題)を課す学校はありえないだろう?
大切な人である必要はまったくもってなく、"人"でなく、第1の試練同様、"モノ"でいいのに・・・と思ってしまった。しかも、この作品て子供も含めたファミリー映画のはずなのに・・・。

ところで、パート1で初めて見たときは、めちゃくちゃ可愛いと思っていたハーマイオニー役のエマ・ワトソンだが、外人の子役の宿命か?(可愛い子役は成長とともに不細工になっていくという、反比例の法則に関係あるのかどうかはわからないが・・・)、今作品の中ではところによっては、すごく不細工に見えるシーンがある。額にしわがよるシーンが結構多く、CGに金をかけてるのなら、しわも消してやれよ!と思わずにはいられなかった。がしかし、シーンによっては、やはりすごく可愛く見える。ダンス・パーティーのシーンなどはその好例だといえる(ダンス・パーティーといえば、ハリーの格好も見所だと言える。パーティー用の礼服に身を包んだハリーはカッコイイ!!)。
そして今回ハリーの初恋の相手役のアジア系の女の子。最初は普通の子だな?と思っていたが、彼女もまたダンス・パーティーのシーンで素晴らしく輝きを増してくる。
彼女にしろ、エマにしろ、シーンごとにここまで変わるものなのか?と驚きを隠せないのだが、"女優"という意味ではたとえ子役であっても、スクリーン上で輝くべき時と、そうでない時を心得ているのかもしれない。そういった意味では二人とも今後が楽しみな"女優"である。

一方、ホグワーツ代表の生徒として選ばれた男の子もかなりハンサムだ。でも、どちらかというと、映画俳優というよりはTV俳優といった感じがしたのは自分だけだろうか?

1つだけ、どうしても許せないシーンがあった。それもダンス・パーティーのシーンなのだが、最初は皆さんが思い浮かべるであろう、スローテンポのダンスなのだが、それが突如、ロックに変わる。先ほどまでダンスを踊っていた生徒たちもバンドのライブの乗りに急変。このシーンはハリポタ・シリーズの色を損なってしまっている。これは監督の色を出したかったのかもしれないが、このシーンだけは違和感を感じずにはいられなかった。もしどうしても入れたければ、順序をロックとスローテンポの順番を逆にして、ロックを最初に持ってきてもらったほうが違和感がなかったのではないか?と思う。 というわけで、今回はファンタジーや謎解きを期待していくと期待はずれに終わるかもしれないが、笑いや新しいキャラクターの登場を期待して見に行くと面白いかもしれない。とはいえ、これはあくまでも、ハリポタ・シリーズとしての評価であって、他の作品と比べれば、ファンタジーも謎解きも格段に面白いです。

そういえば、本編上映前の予告編集で「キングコング」をやっていたのですが、生まれて初めて予告編で拍手が起きたのを目撃しました!!

一口コメント:
"笑い"倍増、"謎解き"半減、のシリーズ第4作です。

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