フライトプラン
採点:★★★★★☆☆☆☆☆
2005年9月24日(映画館)
主演:ジョディー・フォスター
監督:ロベルト・シュヴェンケ

ジョディー・フォスター久々の主演作であり、先日プレミアに行ったこともあり、見に行った作品。日本では2006年1月公開のようです。

カイル・プラットは6歳の娘ジュリアと共に夫の遺体をニューヨークへ移送するために飛行機に乗り込む。しかしその機内で転寝をしている間に娘が忽然と消えてしまう。
しかも機内の誰もが、その娘を見ていないと言う。連邦航空保安官のカーソン、機長のリッチに捜索協力を願い出て、調べて見た結果、搭乗記録も残っていないし、さらに調べていくと娘も数日前に死んでいたということが判明。
そしてカイルは飛行機の中を半狂乱になって暴れまくる。トイレの天井から抜け出し、飛行機の配線を切ったり、酸素マスクを出したり、貨物庫に行って、夫の遺体の入った棺を開けたり・・・。そして最後はカーソンに手錠をされてしまう―――。

最初、予告編を見たときは「フォーガットン」の内容に似てるなと思った。舞台が飛行機になっただけって感じで、娘のことを自分以外の誰も知らないという設定は酷似している。
フォーガットン」は最後が宇宙人オチだったけれど、この作品はそこは違います。
正直、途中までの展開はまったく一緒だっただけに不安で仕方がなかったし、1時間くらいのところ(娘が死んでいたのがわかるシーン)で、オチらしい展開になった時には、まさかこのまま終わりじゃないだろうな?と思いましたが、そんな脚本をジョディーが選ぶわけないよな?と思って見続けてたら、良い意味で期待を裏切ってくれました。

とはいえ、この作品の脚本は良くできているという人が多数いる中、自分はかなり穴だらけの気がしました。サスペンスとしては確かによくできているのですが、舞台が飛行機の中とう設定にかなり無理がある。
この物語の核とも言える肝心の娘が消えてしまったという設定。ネタバレになりますが、最終的に娘は機内のある場所で見つかります。しかし、そこに行くまでに誰にも見られずにたどり着くことはまず不可能。
そして娘の搭乗機録がある人物によって、消されたはずなのですが、その消した人物にそんなことをすることは不可能。
それになにより、娘がいなくなったからといって、あそこまで機内を自由自在に駆け巡るだけの特権が与えられるわけもなく、もし仮にそんな人物がいたら、どこかに隔離されるだろう。一時は他の乗客と取っ組み合いのけんかになってるし・・・。
それ以前に、今回の事件の舞台となる旅客機。こんなにも豪勢な旅客機が存在するのか?と思ってしまう。2階建てで、エコノミーシートの人間も入れるバー・カウンターがあって・・・。

これが飛行機じゃない、どこか他の場所(たとえば、遊園地とか・・・)なら上に上げた穴は解消できるのだが、売り込みの方法としては、やはり飛行機という密閉空間というほうが面白いから、仕方がないのだろうか?
密閉空間といえば、前回の「パニック・ルーム」もそうだったけど、ジョディーは密閉空間サスペンスが好きなのだろうか?しかもどちらの作品も親子で閉じ込められてるし・・・。

そんな作品の中にも「パニック・ルーム」のオープニング・シーンと同様に驚愕のカメラ・ワークがある。「パニック・ルーム」では1階の部屋と2階の部屋をノンカットでつないで見せたが、今回も同じく、機内の1階席部分からカメラが引いていき、細い螺旋階段を上昇し、2階席に移動し、客席の上を移動しながら、ジョディーが座っている座席にフォーカスしていくという一連のシーン。これだけの流れをノンカットでつないでいる。途中でCGを使っているのか、客席が移動式になっていて、カメラの動きに合わせて移動しているのかはわからなかったが、映画制作者としては、「宇宙戦争」に続く、今年2番目のカメラワークを見せてもらった気分です。

サスペンスとしての謎解きの部分に関しては、それなりに面白いのだが、穴が多く、そこまで深くは入り込めなかった作品です。かなり早い段階で犯人が誰なのかって、わかってしまったし、それがわかってからは穴ばかりが見えてきてしまったし・・・。

一口コメント:
ジョディーの好きな(多分?)、"密閉空間サスペンス"ですが、穴が多いです。

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