ドミノ/D O M I N O |
「ベッカムに恋して」、「キング・アーサー」、「ラブ・アクチュアリー」、「パイレーツ・オブ・カリビアン」と彼女が出演している作品は結構見ていて、ナタリー・ポートマンについで、自分の中で今好きな女優である、キーラ・ナイトレイが出ているということ、そしてプレミアのチケットをゲットできたこともあって、見に行った作品。
ドミノは女優の娘としてロンドンで生まれ、若くしてトップ・モデルして活躍。しかし常周りとの衝突が絶えず、ビバリーヒルズに引っ越すことになる。
そこで見つけた「バウンティー・ハンター(賞金稼ぎ)募集」の広告。バウンティー・ハンター養成セミナーの主催者たちがセミナー受講料を騙し取り、会場から逃げ出すところにドミノは駆けつけ、、リーダーであるクレアモントに認められ、仲間入りを果たした。
初めての仕事でストリッパーまがいのことを経験し、次第にバウンティー・ハンターとして成長していく。仕事仲間は、全部で4人。4人が経験を積むにつれて、TV局が取材を申し込んでくる。そして物語はFBI、警察、カジノ王を巻き込みながら、クライマックスへと向かっていく―――。
監督のトニー・スコットは「トップ・ガン」や「スパイ・ゲーム」の監督でもあるのだが、年を追うごとに編集が凝っていく。
それを好きという人はいいのだが、個人的には昔の作品の方が好きで、「スパイ・ゲーム」の作品に関しては、あまり好きではない。
今作品は今まで一番凝っている。綺麗な映像をわざとぼかしたようにしているのだが、正直やりすぎな感が否めない。また字幕も普通の映画とは異なり、スクリーンを横切ったりする。
ストーリーとしては、36時間前に起きた1000万ドル強奪事件について、ドミノがFBI捜査官の取調べを受けているシーンから始まる。ドミノの証言に基づき物語は進んでいくのだが、時間通りに並べた方がわかりやすいであろうストーリーをわざとバラバラにし、現在と過去を行き来するような編成に直している。謎解きの要素を加えるためにそうしたのだろうが、少々わかりづらかった。
ただし、「コインの表が出れば生、裏が出れば死」というドミノの人生観だけはうまく表現されていた。
シーンごとに見れば、1シーン、1シーンはスタイリッシュで、格好良く見えるのだが、それが延々と続くため、見ていて正直疲れる。しかも全体として見ると、冒頭、ドミノがバウンティー・ハンターに仲間入りをするシーンまでの展開は、型破りな女性を華奢なキーラが演じているせいもあって、面白いのだが、そこから後の展開はサスペンス要素を出すために分解し、順序を入れ替えたのだろうが、かえってだるい。なぜならサスペンスとして成り立つほど、謎解きの謎が深いわけでもなく、最後にすべての謎が解けた瞬間も、こいつが犯人だったのか?という新鮮な驚きもなかったから。
この映画の難しいところの原因は他にもある。スラング(俗語)が多用されすぎてて、英語が理解しにくい、というのもこの映画が理解しにくい理由のひとつになっているのだろう。
それと物語中盤くらいで出てくるテレビで人種について議論するシーン。はっきり言って、必要ない。めちゃくちゃ笑えるし、見ていて面白いのだが、物語の進行に関係あるか?といわれれば、まったくもって関係ない。
まだこのシーン以外に笑えるシーンがないというのなら、このシーンで笑いを取りに来たとも考えられるのだが、このシーン以外にも笑えるシーンはいくつかあり、必ずしもこのシーンが必用というわけでもない。
個人的に、残念だったのが、主演のキーラが脱いでしまったこと。
多くのハリウッド女優がヌードシーンを経験して、売れて行った(あのジョディー・フォスターでさえ、そう)という過去をぶち壊してくれると思っていた矢先、しかもアメリカ生まれではなく、イギリス出身の彼女が脱いでしまったのが、残念。
ストーリー展開上、必要不可欠なら、仕方がないと思うのだが、正直そのシーンは必要ない。キス&抱擁だけで十分だったと思う。映像的には屋外で脱いでいて綺麗といえば、綺麗なのだが、ストーリー上は特に必要のないシーンだったので、監督のこだわりのために脱いだとしか思えず、せっかく主役までのぼりつめたのに、その最初の主役作品で脱いでしまうとは・・・、非常に残念です。
それともうひとつ残念なこと。ルーシー・リュー演じるFIB捜査官が「日本語の"無知"っていうの言葉は英語では"WHITE"に翻訳される」と言う台詞があって、これは日本人という設定なのか?と思ってしまった。いつになったら、日本人役を中国人や韓国人ではなく、正真正銘の日本人が演じる日が来るのだろうか?
恐らく、この作品に対する評価は、"芸術的センスが素晴らしく、玄人受けする傑作!!"という評価と、"監督のこだわりが強すぎて、大衆受けはしないままコケル!!"という評価の、まっぷたつに分かれるでしょう。ちなみに自分は・・・(☆を見てもらえれば、わかると思います・・・)。