ナルニア国物語
第1章:ライオンと魔女
採点:★★★★★★☆☆☆☆
2005年12月29日(映画館)
主演:ウィリアム・モーズリー、アナ・ポップルウェル、スキャンダー・ケインズ、ジョージー・ヘンリー、リーアム・ニーソン、ティルダ・スウィントン
監督:アンドリュー・アダムソン

「指輪物語」と同時期に書かれた全7部の原作の映画化ということで、何かにつけて「ロード・オブ・ザ・リング」や「ハリー・ポッター」シリーズと比較される作品。

ピーター、エドモンド、スーザン、ルーシーの4人兄弟は戦争により、疎開をすることになる。疎開先の家で見つけた洋服ダンスでかくれんぼをしていた末妹のルーシーはナルニア王国への入り口を見つける。
偉大なる王アスランが作ったナルニア王国は、白い魔女によって、100年にもわたり冬の世界に閉ざされていた。ナルニアには、アスランの帰還と、4人の真の王が現れ、白い魔女の支配を終わらせるという伝説が残っていた。
その伝説の4人として認められた4人兄弟はナルニア王国を救うために、戦いに挑むことになる―――!!

さすがに比較されるだけあって、「ロード・オブ・ザ・リング」、「ハリー・ポッター」シリーズで見たような映像やストーリー展開が多い。例えば大平原における戦闘シーン。かなりの数の兵士たちが戦うシーンはさながら、「ロード・オブ・ザ・リング~2つの塔~」における戦闘シーンを思い出させるが、そこまでの迫力は正直ない。
また火の鳥が出てくる辺りや魔女が魔法を使って、食べ物を作り出すシーンなどは「ハリー・ポッター」シリーズの得意とするところだが、これまた、そのレベルには達していない。

映像的にはこの2大ファンタジー作品にはやや及ばないが、個々のキャラクターの描写は面白い。特に魔女の怖さというのはうまく描かれていた。キャスティングがうまいのと、ストーリー展開のうまさがうまくマッチしている。

しかし、今後のシリーズを担っていくことになるであろう4人兄弟。はっきり言って、存在意義がない。ナルニア王国を救うために現れるという設定なのだが、4人が現れたことによって、何か重要な意味があったわけでもなければ、戦闘シーンにおいてめちゃくちゃ強いわけでもなく、4人がいなくても、元々の王国民たちだけでも戦闘は勝てた。
例えば、子供たちの純粋さが魔女のゆがんだ心を打ち砕くというような設定があれば、まだ子供たちの存在意義はあるのだろうが、子供たちが現れたことによって、国民が戦闘に挑む決意をするようになった、これが唯一の存在意義だろうか?
おそらく原作にはその辺りがもっと盛り込まれているのだろうが、映画化にあたって、その部分を削ってしまったのではないだろうか?もしくは第2部以降でそれを説明する部分が出てくるのだろうか?しかし、やはりシリーズものである以上、第1部でその辺りは明確にしておかなくてはいけないし、このシーリーズは「ロード・オブ・ザ・リング」、「ハリー・ポッター」シリーズとは違い、1話完結らしいので、なおさらその説明が必要なのではないだろうか?

この作品のみどころはCGだろうか?映画史上初のケンタウロスが出現したり、王国の主であるライオン(ディズニー・スタジオの一つであるMGMの主であったりもする・・・)の表情の豊かさは先日の「キング・コング」と比べても遜色ない。どちらの作品も一見、怖い存在であるはずのゴリラとライオンをCGを使って、穏やかな表情を作り出し、作品中でほっとできるひと時を提供してくれている。

まだ第一部なので、なんとも言えないが、今後の続編次第では、歴史に残る作品になる可能性は秘めていると言える作品です。

一口コメント:
ロード・オブ・ザ・リング」と「ハリー・ポッター」を足して、"2"ではなく、"3"で割ったくらいの作品です。

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